ひと:PEOPLE
2024.12.12

【後編】いきる建築 建築家・佐藤 欣裕

はじめに:
TAYUTAUの設計を監修された佐藤 欣裕さんに、これまで自身の設計に対して影響を与えたものや、大切にされてきた思想を伺いました。それにより見えてきたものは、TAYUTAUがなぜこの形になったのか、どんな力が隠されているのか、まだ見ぬTAYUTAUの可能性。まだ明らかになっていないTAYUTAUのDNAを紐解きます。

INTERVIEW MEMBER

MOLX.Ltd
建築家
佐藤 欣裕
佐藤 欣裕

有限会社もるくす建築社。自然のもたらす流れを理解し、その力に逆らわず活かす、原理的な住まいをつくり続ける建築事務所。湧水に囲まれた田園地帯(秋田県仙北郡美郷町)にオフィスを構え、環境建築分野を中心に活動を行う。

INDEX
目次

1.これからの住宅に必要なこと

佐藤:
電気やガスなどのエネルギー使用量を抑える省エネルギー性能に加えて、住宅におけるサスティナビリティはもっと考えられるべきです。省エネルギーとはその建物の運用段階でどれだけエコロジーかを示す指標ですが、その建物がどんな材料でつくられ、長きに使われ解体時の発生するエネルギーまで考慮する必要があります。また、冬の太陽からもたらされる日射や風、一日の中の温度差などいわゆる環境配慮のテクニックは「蓄熱性」と「調湿性」が鍵になると思います。

これまで湿気から家を守るために『全館空調』を導入したり、快適な温熱環境を整えるために『床暖房』や『エアコン』を導入するなど、外部からエネルギーを取り入れることで、住宅内の快適性は担保されてきた。だが、佐藤さんは住宅自体にその機能を持たせることで、エネルギー消費を極力抑えることができる住宅をつくることができるのではないかと考える。

佐藤:
ビルのような機械設備を搭載する代わりに、建築本体に質量を持たせることでより自然な生活環境をつくりだすことが出来ます。家自体がタンク機能を持つということです。近年の研究や解析で自然材料の良さは見直されていますが、具体的にいうと木や土系の素材は非常に優秀です。素早く熱や湿気を吸放出する土や石などのミネラル質。彼らはいうならば短距離ランナーです。木は非常に保持力が高いので長距離ランナーと言えるでしょう。これらの組み合わせを上手に行えば省エネルギーかつ蓄熱や調湿、つまり伝統的な民家の持っていた性能も包括出来るのです。そしてセメントや鉄に比べて遥かに素材としてエコロジカルであり建築を造る段階でもかなりの省CO2になります。

2.建物と人が共に生きていくように

変わり目が少なくなったとはいえこの国の春夏秋冬は素晴らしいものです。日本人は古来より『ゆらぎ』を楽しんで生活してきました。季節によって移り変わる美しさや心地よさを享受しながらも、人が過度なストレスを感じない住宅を設計していくためにどうしたらいいのか。もう少し言うと、環境の均一化を強いられてきた僕たちは積極的に外部環境と関わることが必要だと思います。建物と人との更なる良い関係を模索しながら研究を続けていきたいと思います。

TAYUTAUでは住宅が建つそれぞれの土地に合わせて、一棟一棟丁寧に設計をしていきます。その時代、その土地でベーシックな建築とは一体なにか。佐藤さんとともに、その場所に最良の住宅を提供し続けていきます。

WRITER
TAYUTAU 編集部
ひと:PEOPLE
2024.12.12
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