HOUSE 02
住まい:HOUSE
2024.07.30

心地よさを考えぬいた温熱環境

プロローグ:
TAYUTAUが考える適切な温熱環境(人が快適に過ごすことができる温度と湿度の空気環境)とは、ストレスのない、自然体で暮らせる空間であること。そのために必要なのは、あたりまえにとらわれない、人に目を向けた環境づくりでした。今回は、本当に心地よい温熱環境について探っていきます。
INDEX
目次

01. 熱が伝わるスピードに意識を向ける

温熱環境を整えるうえで着目したのは、熱が伝わるスピードです。TAYUTAUでは、断熱(熱を遮断する)だけではなく、蓄熱(熱が到達するスピード)まで考慮して、快適な空間づくりに取り組んでいます。

断熱だけではなく、蓄熱が大切

家のなかで「暑さ」や「寒さ」などの不快を感じづらい、心地よい環境をつくるために大切なのはUA値などで示されている「断熱性能」です。しかし、それは“室内から外へ”どれくらいの熱が逃げるのかを計算式で表すもの。TAYUTAUの住宅では、さらに外の熱が室内に到達するまでの時間、つまり「蓄熱性能」まで考えています。

TAYUTAUの屋根断熱

屋根は太陽の熱をもっとも多く受ける場所。
この熱をどうコントロールするかによって、住まい全体の温熱環境が変わっていきます。

TAYUTAUが屋根断熱に使用しているのは、木材を原料につくられた『ウッドファイバー』。環境にやさしい天然素材で、蓄熱性にも優れた断熱材です。それを厚さ300ミリほどで吹き付けることで、太陽の熱が室内に届くまでのスピードをゆるやかにし、室温への影響を抑えています。

  • コラム「断熱性能が高ければいいの?」
    蓄熱が快適な温熱環境をつくることは、実験でも裏づけられています。
    ウッドファイバーのほか、断熱性能の高さで人気である断熱材グラスウール、ネオマフォームをそれぞれ同じ厚みで用意し実験を行いました。それは、それぞれの断熱材の上に、熱を照射する機械を配置し、長時間熱を当てた時に、断熱材の下に置かれた温度計の温度がどれだけ上がるのかという実験です。

    当然のことながら、断熱性能の低い順に温度計の温度が上がっていくと思いきや、一定時間後もっとも温度が上がらなかったのは断熱性能が一番低いウッドファイバーでした。

    この結果から、単純な素材の断熱性能だけでは、本当に心地よい温熱環境はつくることができないことがわかります。

短期的な数字にしばられないように

住まいを選ぶとき、とりわけ断熱性や気密性は気になるものです。
ただそれらは、単純な数値ということを意識してください。その家で暮らすことを想像して、本当に心地よい空間をつくるために必要なことはなにか。数値に示しきれない性能にこそヒントがあるはずです。実際の暮らしを具体的に想像することが、本当に心地よい暮らしを実現するためには必要になってきます。

02. 空気の層で心地よく

熱の影響を受けるのは屋根だけではありません。熱の出入りが多い窓も、快適な温熱環境を考えるうえで断熱が欠かせない場所です。

日本と海外のサッシのちがい

窓まわりに求められるのは、熱を伝えにくいガラスと気密性に優れたサッシ。ほとんどの先進国では、熱を通しにくい樹脂製のサッシが用いられる一方で、日本ではいまだに熱伝導率が高いアルミ製が多く使われています。

湿気から住宅をまもる日本の住まい
湿気が多い日本では、住宅に通気性のよさが求められてきました。そのため、家のなかの温度を均一に保とうとする気密性・断熱性を意識した家づくりの考え方は根付きにくく、高性能なサッシが日本の住宅業界では進化しにくかったと考えられます。

それに対して海外に目を向けてみると、寒い地域や暑い地域と過酷な環境のなかで、家のなかの温度を一定に保っていくために、高い断熱性・気密性が求められてきました。

参照:

  1. 家がこんなに寒くて暑いのは、先進国では日本だけ[住む人オンライン_参照]
  2. ア然!海外vs日本でこんなに違う!窓の性能[住まいるサポート株式会社_参照]

TAYUTAUで使用しているサッシ(ユニルクス)

TAYUTAUで使用しているのは、ドイツのメーカーがつくる樹脂製の「ユニルクス」。
3枚のガラスによって構成されるその窓と窓枠は、ガラスとガラスの間に空気が充填されているのが特徴です。幾層にも重なる空気の壁が優れた断熱材となり、室内に入ってくる熱を抑えてくれます。

また、トリプルガラスは表面に金属の膜がコーティングされ、太陽の熱を吸収・反射しほとんどを室内にいれません。冬、室内の暖かさも逃げにくくなるため、家のなかを1年中快適な温度を保つことができます。

0.3 断熱と同時に換気も必要

心地よい温熱環境をつくるためには、外の影響を遮断し中の温度を逃さないための断熱性能が重要です。一方で、湿気の多い日本で、住まいを長く健康な状態に保つためには、遮断してばかりではなく、湿気を逃す換気が必要不可欠。TAYTAUでは、心地よい温熱環境を保ちつつ換気をするために、自然の力を活かした換気の仕組みを取り入れています。

自然の力で湿気を逃すシステム

TAYUTAUの家では、湿度が高くなった時に、空気を取り込む量を家自体が自動で調整し、換気するシステムを導入しています。

それは、湿度に応じて伸び縮みするナイロン製のリボンを給気口に取りつけること。それは、湿気が多くなるとリボンが伸びて開口部が広がり空気を取り込むという仕組みです。

電気を使わず、素材の伸縮の力によって入る空気の量が自然に調節されるのは、まるで家が呼吸するかのよう。日本の住宅は断熱性能だけではなく、換気の視点を忘れないことが重要になってきます。

04. あたりまえにとらわれず本当に心地よい温熱環境を

暑さや寒さにさらされず、ストレスを感じることなく気の向くままに過ごすことができる空間。TAYUTAUの温熱環境は、ただ性能数値を追い求めるのではなく、家とそこに住む人の良い関係を想像し、心地よい暮らしのために必要なことを考えぬかれています。

WRITER
TAYUTAU 編集部
住まい:HOUSE
2024.07.30
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